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前回4月のコラムで世界大恐慌に陥る可能性について触れましたが、いよいよそれが現実味を帯びてきました。リーマンブラザーズの経営破たんをきっかけにした世界同時株安は欧米の金融機関の経営を直撃し、すでに膨大な額の公的資金が大手金融機関に投じられています。
ドイツは銀行支援に68兆円、フランスは50兆円支出することを発表していますし、スペイン、オランダ、オーストリアを加え総計180兆円規模の公的資金準備がなされているといいます。イギリスも69兆円の対策を打ち出していますし、ご存知のとおりアメリカは最大75兆円規模の公的資金枠を用意しており、実際大手銀行などに資本注入されています。日本でも予防的に公的資金注入を行えるよう法案を整備する動きがありますし、アイスランドは国家破綻の危機に瀕するなど、金融パニックが収まる兆しが見えません。 この先世界経済はどこへ向かっていくのでしょうか。各国政府が行っている一連の対策が功を奏し、パニックは落ち着きを取り戻し、元の世界に戻るのでしょうか。恐らく「否」でしょう。日本でもかつて見られたとおり、公的資金を投入された金融機関は収益を確保すべく、極端な貸し渋りや貸し剥がしを行います。日本の場合は、超低金利政策(ほとんど預金に利子が付かない!)と中小企業を対象とした貸し渋り(どれだけ多くの中小企業が潰れたことか!)、そして消費意欲の旺盛なアメリカへの輸出により10年以上かけて不良資産を消化してきました。あまたの国民・中小企業の犠牲があり、何とか持ちこたえることができましたが、今や世界のどこを見渡しても消費のアンカーとなれる地域はありません。すでに実態経済の悪化が伝えられており、アメリカでは国の象徴であるGMが経営破たんの危機に瀕していると言われています。貸し渋りにも限界はあるでしょうし、もう世界中の金融機関に投入された公的資金をまっとうな方法で消化をする術はないものと思われます。 では、今後世界はどのような方向に進むというのでしょうか。1929年の再来とばかりに世界大恐慌が勃発し、街中に失業者があふれ、物流がストップし大混乱が発生するのかもしれません。戦争が引き起こされる可能性もあります。戦争という破壊行為は最大の公共事業とうそぶく人もいるくらいですから。追い詰められた為政者は何をしでかすかわかりません。 ハイパーインフレが起こる可能性も捨て切れません。大量に注入されている政府資金は不換紙幣と呼ばれるもので、極端な話、輪転機を回せばいくらでも発行できるものです。(実際にはコンピューター端末に入力する作業だけですが…)根拠のない紙片を市中に大量にばら撒けばインフレが起こるのは当然です。FRBの議長であるバーナンキは「ヘリコプター・ベン」の通称を持つのをご存知でしょうか。経済危機に対してはそれが沈静化するまで「ヘリコプターでお札をばら撒いてでも資金を市中に供給すべき」というのが彼の持論だからです。そういう意味では、ある意味この危機をすでに見越した勢力が彼に議長のイスを用意したのかもしれません。 新経済体制の構築 しかし、筆者は別の見方があると考えています。10/19にブッシュ米大統領が米国主催による金融危機をめぐる緊急首脳会合の実施を表明し、この11月中にも実施されることのようです。ヤフーニュースによれば、「今年の主要8カ国(G8)首脳会議(サミット)の議長国、日本の政府関係者は19日、支持を表明する一方、「G8の枠外」と位置付けていることを明らかにした。参加国はG8に中国やインドなど新興国を含めた10数カ国に上る見込みで、「G8の枠組みにこだわる必要はない」との判断も働いたとみられる。 外務省筋によると、大使館ルートでブッシュ大統領から麻生太郎首相に対し、米主催の首脳会合の打診があったのは日本時間の18日夜。日本政府は、「米国発の金融危機であり自国の責任で会合を開催したい」、とする米側の申し出を理解、同国開催に同意したという。」とのことです。 つまり、世界の首脳が一同に介して、世界経済の動向に対して何らかの協議と決定がなされる可能性が高いと思われるのです。筆者はこの会合は今後の世界の姿を展望する上で極めて重要なものであると考えています。結論から言えば新経済体制の構築「世界統一銀行による統一通貨」もしくは「ドルに変わる新基軸通貨」の誕生に向けた何らかのメッセージが打ち出されるのでは、と推測しています。 現在水面下では、この会合に向けた事前協議がなされているものと思われますが、すでに欧州の主要国要人からはそれを示唆するような発言が公の場で出ているようなのです。(日本のマスコミは絶対取り上げませんが…) そんなことができるはずがない、と思われる方も多いと思います。しかし、欧州はすでにユーロ導入という国家の枠組みを超えた統一通貨の壮大な実験を済ませていることを考えれば、あながち突拍子もない話とはいえないと思います。この統一通貨導入の大きな目的は今の金融危機を打開するためだけでなく、次の目的・シナリオがあると考えられます。
つまり、新通貨導入を名目に、これまでばら撒いた負債を国民や企業の負担で全部チャラにしつつ、統一通貨でさらに国民管理を強化していこう、という狙いがあるのではないでしょうか。欧州からみれば覇権をアメリカから奪い取ることも視野に納めている可能性もあります。 しかし、これほどまでに痛みを伴う施策を実施するためには、今以上の危機の演出が必要となります。国民にこのままでは国がつぶれる、と思わせるような事態が必要なのです。その意味でも今後の各国の株価は注目です。アイスランドは国家がデフォルトしましたが、もっと大国で同様のことが生じるかもしれません。そうなれば世界で2番目の債権国である日本も壊滅的な被害を受けることでしょう。この金融恐慌には、水面下でそんな隠された意図があるのではないかと考えます。いずれにしてもこれから1ヶ月の世界経済の動向からは目を離せません。これらのシナリオが外れることを心から願いますが、皆さんにおかれても明るく前向きに生活しながらも、最悪の事態を想定しつつ推移を見守り、また準備を怠らないように行動いただければと思います。事態の推移は想像以上に早いのです。 「今、近い将来に世界経済のクラッシュを予想する論調が目に付くようになってきました。日本国内では、今外債や外貨預金に大量の貯金が流れているそうですが、虎の子を米ドルにリンクさせるリスクをよくよく熟慮しなければならない状況ではないでしょうか。」 これは、前回のコラムまとめ一文です。(とは言うものの8ヶ月前の文書ですが…) 奇しくもサブプライムローンによる世界経済の減速の危険性を訴えた直後に、まさにサブプライムローンの焦げ付きに端を発した欧米発の景気減速、株価急落、円高ドル安が発生・進行しました。残念ですが前回コラムで心配した状況が現実のものとなりました。 これに対してタンジブルアセットと呼ばれる実物(穀物や原油、貴金属など)の価格は急上昇しました。一時は原油が1バレル100ドルを超え、ゴールドも1トロイオンス1000ドルを超える凄まじさです。ゴールドはほんの7~8年前は300ドルを下回る価格でしたから、いかに投資資金が実物商品に流れ込んでいるかが想像できます。 以下に述べることはあくまで個人的見解ですが、今後の世界経済の見通しについてはきわめて悲観的です。一生のうちにお目にかかるかどうかの大暴落、大恐慌を経験するのではないかと考えています。 このコラムを書いている4月5日においてはNYダウや日経平均株価もやや落ち着きを取り戻し、株価は一時期の最安値から若干戻している状況です。しかしこれはアメリカにおいて3月にかけてのフェデラルファンド金利や公定歩合の大幅な引き下げや、破綻した大手証券会社の救済策によって当面の破綻の連鎖をくい止めたからに過ぎない、と考えたほうがよさそうです。今日発達した金融先物市場は値が上がっても下がってもそのふれ幅が大きい(ボラティリティが大きい)ほど収益を上げるチャンスが多いわけですから、下げ局面の戻りを演出するなかで一儲けしようとの思惑で値を戻しているにすぎないと見るべきでしょう。本質的には1998年に発生した日本の金融危機と同様に米銀行の大半が資本に巨大な欠損を抱えています。数度の株価の上げ下げを繰り返しながら、トレンドとしては大きく株価は崩落し、巨大銀行の救済合併や破綻劇が生じるでしょう。それほどにサブプライムローンなどの証券化されたクズ債権は巨額で、今、その壮大なバブルが破裂しつつあると捕らえて、身を守る手はずを考えなくてはなりません。 株価崩落の衝撃はいかほどか。皆さんは日本のバブルが弾けた1992年当時のNYダウの株価をご存知でしょうか。答えは約3000ドルです。その後クリントン政権時の8年間で株価は一気に11500ドルへ急上昇、その後を引き継いだブッシュ政権では低金利の新築住宅ローン(なんと期間30年で5.76%)をテコに住宅ブームに火をつけ、株価は最高値で14000ドルにも達しました。株価がどこまで下がるは分かりませんが、ほんの15年ほど前の株価が3000ドル台だったことは覚えておいたほうがよいでしょう。日本で言えばバブル後最安値の7900円台を意識します。 また、ドル暴落も現実のものとなりつつあります。ほんの半年前は1ドル120円以上あったのが、あっという間に100円割れです。ドル建てで資産を保有していた人は半年で2割近く資産を減らしたことになります。(もちろん価格評価上の話ですが) しかしながら為替の世界は特に奇奇怪怪で、必ずしも経済実態をストレートに反映したものとは言い難いものですし、なかには一旦ドル高後に、再びドル崩落を予想する向きもあります。今はやりのFXなど為替に手を出すのは余裕資金の範囲内か、より慎重になるべきでしょう。 では、私たちのとるべき行動とはどのようなものでしょうか。確かにここ数年を見越した短期的な面で言えば、日常生活においても困難を伴う場面があるかもしれません。なにせ食料自給率が39%しかない国ですから、おコメや野菜などは生産農家との直接取引のパイプを今のうちから作るとか、自身で栽培することを考えるのも一つでしょう。紛争・戦争が起こるかもしれません。為政者は国内の不満をそらすために対外的な強行手段に訴えることがしばしばあります。また破壊は生産を呼びますから、イラク戦争のごとくビジネスの動機から紛争を勃発させることにも注意が必要です。人の集まるテーマパークやシンボル的な場所は意識的に避けたり、移動手段にも気を配ったほうがようかもしれません。 ただし、長期的な視点でみると個人にも経済的に大きなチャンスが訪れると言えます。日本企業の技術力は世界的に見ても大変高いものがあります。こういった真に力のある企業の株を、売りたたかれたあとの価格で仕込むことは大切です。ゴールドをはじめとした実物商品は独歩高の可能性があります。裏打ちのないペーパーマネーの時代が終わり、実物資産に資金が集まるでしょう。ゴールドや金鉱株、金ETFなどに対して経済混乱で一時的に価格が下がった時点で仕込むことができるかもしれません。 いずれにしても、予想される大混乱をチャンスに変えるためには手持ちの資金が必要です。生活防衛の手を打ち、無駄な出費を控え今はじっくり手持ち資金を蓄え、来るべきチャンスに備える、そんなタイミングではないでしょうか。私たちは今一度歴史を振り返る必要があるのです。 ※このコラムは個人の見解を述べたもので、投資勧誘や誘導を目的として作成したものではありません。経済予想および投資の最終決定はご自身の判断でなさるようお願いします。
今、アメリカではひとつの大きなバブルが破裂していると言われていますがご存知でしょうか。それはアメリカの不動産投資ブーム(住宅バブル)です。サブブライム・ローンと呼ばれる住宅金融専門会社が20%程度の高利で貸し出した住宅ローンが今、急速に焦げ付いているのです。これまでアメリカでは好景気を謳歌する中、住宅ローンで購入した自宅の担保価値が上がるとその上昇分を担保にさらに融資を受け、投資用の家やマンションを購入したり、株式等の投資で運用することが広く一般庶民の間でも行われていました。その中でも信用力の低い人が上述したサブブライム・ローンという高金利の融資を受けて、再投資を行っていたのですが、近年、住宅価格の急落を受け、破綻を来たす個人が急激に増加し、一部には住宅金融専門会社の破綻や日本国内証券会社が大幅な損失を計上した、とのニュースが流れています。明らかにアメリカ経済は変調を来たし始めました。
世界経済については、アメリカを中心に全般的に拡大基調が続いていると言われています。確かにニューヨークダウ平均は史上最高値を記録し、中国での市場の加熱ぶりや日本国内においても大企業中心に好業績が伝えられるなど、順調さを裏付ける材料には事欠きません。 しかし、注意深く見渡してみると近い将来、日本も巻き込んだ大混乱が発生する危険を感じています。それはドルを中心とした過剰流動性(ドルの刷りすぎ)にあると見ています。 近年の金余りを受けヘッジファンドに流れる投機資金が急速に拡大しており、株式市場のみならず原油や貴金属等の価格まで急上昇しています。どこの市場にも投機筋の資金が大量に流れ込んでいると言われています。 日本の財政赤字の問題は折に触れて述べてきましたが、実はアメリカの財政赤字もきわめて深刻な状況にあるのをご存知でしょうか。日本では毎年大量に発行される国債をなんとか消化するために、今では個人に一生懸命はめ込もうと財務省も躍起となっています。 同様にアメリカも大量の財務省証券(アメリカの国債)を発行するのですが、その消化を助けているのはサウジ、日本、中国と言われています。一説によると日本は毎年30兆円ものアメリカ国債をさまざまなルートで購入していると言われています。(それによりイラクやアフガニスタンの戦費を調達している…) サウジは原油で、日本や中国は貿易で稼いだドルをまた、アメリカ国内へ還流させることでアメリカの借金はファイナンスされているわけですが、いよいよそのサイクルにも綻びが生じるのではないか、と言うわけです。 たとえば中国は近年、急速に力をつけ外貨準備高も極めて高い水準にありますが、もしアメリカ国債や米ドルを売り込んだとしたらどうなるでしょうか。以前橋本元首相が同様の発言をしたとき、ニューヨークダウが急落したことを思い出します。日本には実行する意思も能力もありませんでしたが、はたして中国も日本と同じでしょうか。借金によって大量に供給されたドルは、永遠に保有され続けなければならないのですが、中国の出方しだいによっては米ドルの暴落だって有りうるシナリオが囁かれているのです。(中国が世界の覇権を取る、というのもあながち夢想とは言い切れません) さらに理由を探すと、米ドルの信用の根拠が弱まっている、という問題が上げられるでしょう。 皆さんは米ドルを発行している連邦準備制度(FRB)が民間株式会社だということをご存知でしょうか。さらに言えば日本銀行券を発行している日銀も株式会社です。これらの発行している紙幣は不兌換紙幣と呼ばれ、現在、ゴールド等の裏づけのない紙幣です。つまり強制的に法律で保証はしていますが、本質はなんら実態を伴わない紙切れとも言えます。 法律で保護されているとはいえ、民間会社がインクと紙で紙幣を製造し流通させる。1万円の製造原価はほんの数円と言われ、日銀は紙幣を発行させればさせるほど、莫大な利益を生みます。FRBも全く同じ構図といいますか、この仕組みの元祖がFRBというわけです。ではこれら中央銀行の株主は誰なのか、実はFRBの大株主はアメリカの大銀行数行が過半数を占めていると言われています。国が紙幣を大量発行しつづけることで、国際金融資本と呼ばれる大銀行が莫大な利益を自動的に享受し続けるのが、現在の資本主義の基本的仕組みであり、ゆえに世界中の中央銀行は常に過剰に通貨を供給する動機が存在すると言えるのです。ゴールド等の縛り(金本位制の基本はゴールドの量と発行される通貨量がリンクされることで、過剰な通貨の供給量を抑え、インフレの抑制を図り安定した成長を促すところにあります。)から解き放たれた米ドルは常に輪転機を回すことで、世界中のありとあらゆるものを購入し、世界経済を牽引してきましたが、過ぎたるは及ばざるがごとし、いよいよ、それも限界が近いのではないでしょうか。 悪貨は良貨を駆逐すると言いますが、何の裏づけもない紙幣を大量に世界中にばら撒き続けた現在、世界の人々はいつまでドルを信頼し続けるのか疑問です。信頼は一瞬にして崩壊します。今、近い将来に世界経済のクラッシュを予想する論調が目に付くようになってきました。日本国内では、今外債や外貨預金に大量の貯金が流れているそうですが、虎の子を米ドルにリンクさせるリスクをよくよく熟慮しなければならない状況ではないでしょうか。
大方の予想どおり2006年8月15日に小泉首相は靖国神社へ参拝しました。空前の支持率を背景に強力に改革を推し進めてきた小泉首相でしたが、最近は大きな争点も見当たらないなか、脚光を浴びる機会も減り気味でしたが、勇退間際にさまざまな意味において、その存在感を示した一日でした。
さて、最近は小泉政権を総括する記事やレポートを多く目にするようになりました。構造改革を旗頭に「郵政民営化」「道路公団民営化」など、本コラムでもしばしば取り上げた改革・改正を矢継ぎ早に繰り出した小泉政権の本質とは何だったのか、今回は筆者自身の浅薄さを反省しつつ、やや、経済からそれますが論じてみたいと思います。 「日米投資イニシアティブ報告書」とは何か 皆さんは「米国外交問題評議会」(CFR)という組織をご存知でしょうか。アメリカのスーパーエスタブリッシュメントが集うこの組織は共和党・民主党を問わず米国の重要な外交案件に対する研究や論評を行っていて、米国の政策決定にも重要な影響力を保持しています。(この組織を語るだけで1冊の本が出来上がるような存在です。)そのCFRが2000年に発行したレポートには、“景気回復の兆しを見せた日本に対して、米国のビジネスチャンスを増やすべく日本政府(小泉政権)に米国政府(ブッシュ政権)は働きかけるべきだ”との書き出しで対日市場開放を強く要求する内容が記されていました。 そこには、規制緩和を進め競争を促進するような法律の施行を求め、通信・運輸・電気といった重要セクターの開放、社外取締役の導入や世界標準的な会計基準の導入という企業統治の改善や株主資本収益率の重視による外国資本による日本企業買収の促進などが書かれていました。今、会計・司法・医療・税務の各制度や小売・流通などの政治・経済面で日本社会は大きな変貌を遂げようとしていますが、実はその発端がこのレポートにあるといっても過言ではないのです。そして、上述した内容をさらにきめ細かくフォローすべく、米国政府より2002年から毎年「日米投資イニシアティブ報告書」として、日本人としてはため息の出るような内容を要求し続けているのです。 「日米投資イニシアティブ報告書」から見る米国の狙い 第1回の「日米投資イニシアティブ報告書」(以下 報告書)ではすでに、米国流の経営ができるよう会社法の改正(商法改正)やストックオプションの自由化、労働の流動化(リストラの促進)、土地の流動化(REIT上場)、M&Aを行いやすくする規制緩和等が盛り込まれていて、すでにほとんどの内容が実施、もしくは実現しています。 2003年の第2回報告書では、さらにM&Aの促進に向けた具体的要求が記されており、外国企業の株式交換による企業買収の必要性が強調されていました。米国株式は日本企業に比べ株価が相対的に高く、また日本企業には現預金を大量に保有していながら株価に反映されていない企業があるなど、株式交換によるM&Aが実現すれば、労せずして米国企業は日本企業を手中に収めることになるでしょう。会計士制度の改正により会計士を増やすことになったのは、より魅力的な日本企業を発掘するために会計士を増やすためであり、減損会計の導入は、企業の含み債務を顕在化させ、より実態把握した上で買収しやすくするのが目的で米国主導のもと日本が認めて導入されました。そして2006年の商法改正で外国企業の株式交換によるM&Aが認められることになる予定なのです。 次の狙いは「医療市場」 8月中旬、大手新聞社の1面記事として「混合医療」の促進・規制緩和を行う方針である旨の記事が掲載されていました。2004年の第3回報告書ではさらに、「医療」「教育」市場へのM&A要求が高まります。混合医療とは健康保険適用内の分は健康保険で、範囲外を患者本人の自己負担で支払うことで費用が「混合」する制度を指します。日本では差額ベッド代や高度先進医療などごく一部に限って「混合」を認めていますが、原則は適用外の治療費を請求することを禁止しています。(自由診療となり全額保険適用外となる) 混合が認められると、一見便利にも思えますが、重大な問題をはらんでいます。
実は、医療費高騰に政府は頭を痛めていることになっていますが、国民一人当たりの医療費は米国の半分の31万円とのこと。さらに米国の平均寿命、乳幼児死亡率は先進国中最低なのです。国民皆保険が存在しない米国の例から推測すれば、上記1・2の影響により、ごく一部の限られた人が最高の医療を享受する一方、大半の人々は現在より低レベルの治療を受けるか、べらぼうな費用を負担させられることになるでしょう。そして、米国の得意とする新薬やPET等の高額医療機器を日本に売りつけることで、米国企業が日本市場で莫大な利益を上げることになるのです。(すでに神戸では、これも米国に押し付けられた特区制度を活用することで、神戸空国と一体となった医療都市を建設している) 敵対的M&Aのすすめ 今、経済界を賑わせている王子製紙に対する北越製紙への敵対的TOBの一件も2005年の第4回報告書をすかしてみれば違った見方ができます。 同報告書によると、「日本では敵対的M&Aは経験も少なく、何が公正な攻撃で、何が公正な防御か、企業社会の中でコンセンサスがない。これを放置することなく、敵対的M&Aに対するルールを作るべきだ」と記されています。 恐らく今回の一件は、同報告書を受け、しかるべきコンサルタント会社が王子製紙をバックアップして行われていると思われますが、意図されているのは、M&Aの成否よりも“事”を起こすことで社会に一般化させる(慣れさせる)のが狙いではないでしょうか。なお、EUでもTOBに関するルールが近年作成され、少数の株主が反対してもTOBは成立しないなど、TOBの乱用を防ぐことになっているいますが、同報告書では逆に防衛策の乱用を防ぐべきだ、として、欧州で実施済みの防衛策は日本では導入できない見通しです。外国企業による株式交換による日本企業のM&Aを徹底的に行う環境が着々と整っています。 うまく利用された(?)小泉首相 さて、いよいよ小泉政権の振り返りですが、なぜ、国益を損なうと思われる米国の理不尽とも思える要求を小泉首相は呑み続けたのでしょうか。ここからは推察になりますが、参考にしたい話が2つあります。 1つめは、前述のCFRが2000年に出したレポートにある一文です。米国の要求を日本に飲ませるためには、“日本の企業で、米国と同調するものを数多く取り込むこと、さらに企業だけでなく、労働組合、消費者団体、環境保護団体にいたるまで取り込む。日本の国会議員との会合を定期的に持ち、国会議員は官僚に強く当たらせること”とあります。つまり、真正面から要求を突きつければ日本は官民揃って殻に閉じこもるが、新興勢力やこれまで既得権から阻害されていた勢力をうまく利用することで、内側から切り崩すことが有効であることを示唆していました。(新興勢力や阻害された勢力が米国とともに新たな利権を築き上げることになる) 一方小泉首相は、自民党の中で主流派を歩いてきた人物ではありません。「自民党をぶっ壊す」というフレーズに多くの人が共感し、小泉政権は長期にわたる政権を維持しました。しかし、ぶっ壊したかったのは自民党ではなく、自身の生涯の政敵であった田中派(→橋本派→津島派)でした。小泉首相はよく情の人といわれます。福田派を基点とする小泉首相が既得権の塊である田中派を攻撃したい素地を米国はうまく利用したのではないでしょうか。郵政民営化はこのコラムでも何度か取り上げました。小泉首相も持論として唱えていました。小泉首相は根っからの大蔵族でした。大蔵省にとって郵政省が管轄する郵政事業は目の上のたんこぶのはずです。小泉首相は大蔵族の一員として郵政民営化を唱えていたにすぎないのではなかったのではないでしょうか。ましてや自分が首相になると思ってもいなかったでしょうから。 米国は「日米イニシアティブ報告書」の前身である「年次報告書」という米国の対日要求書の中で郵政民営化を強く要求しています。特に米国で強い影響力を誇る保険業界が簡保の民営化を望んでいたといいます。簡保といえば120兆円を超える資金量を誇る保険会社です。郵貯に至っては200兆円を超える資金量です。もし仮に郵貯・簡保が株式会社となり株が市場に放出されたら…。数年後には庶民が額に汗して積み上げた日本人の財産が米国企業に掠め取られる危険があるのです。小泉首相は持論を貫徹すべく国会を解散してまで強硬手段に訴えて民営化に道筋をつけました。この選挙のシナリオは米国のコンサル会社が立案したとの噂もあります。 米国支配層の手下である竹中大臣は、小泉首相の窮地の際、竹中大臣の米国にいる親分にあたる人物を通じて米国政府に働きかけ、小泉首相を救いました。(北朝鮮の電撃訪問の裏側で米国の了承を取り付ける援助をした)竹中大臣はその功労で政権入りを果たしました。その後は米国の代表者を代弁すべく獅子奮迅の働きをしたのは、皆さんも記憶に新しいところです。すでに竹中大臣は小泉後を見据え、ニューヨークに豪邸を構えたとの噂もあります。恐らく、ひそかに米国に移住でもするのではないでしょうか。 小泉首相はその持論や情の強さから米国に選抜され、徐々に取り込まれたと考えるのが自然です。ですから、米国に訪問した際は最大級のもてなしを受けます。小泉首相自身は既得権者を打倒し、開かれた社会に改革したと自負しているでしょうが、実は米国にうまく利用され、日本を米国に開放させたというべきでしょう。(郵政民営化では筆者も賛成を唱えていまいました。市場に対する悪影響は記述のとおりですが、大きな意図にやはり利用されたとの反省の意もこめつつ、今後は米国に日本の富である郵貯・簡保が収奪されないよう注視していきたいと思います) 残念ながら、ポスト小泉は後継者である安部官房長官が有力です。恐らく、米国の意向も安部首相なのでしょう。安部官房長官は米国に取り込まれていると見るのが自然です。米国に搾取され続ける現状、そしてそこに新たな利権を見出し群がる人々。無力感にさいなまれるのは筆者だけではないはずです。皆さんはどのようにお考えになりますか。オカルトだといってきって捨てますか。あまりの理不尽さに思考を停止しますか?ますます社会から目が離せません。 株価は17,000円台を回復 近年、年度末が近づくと必ず株価暴落の危機が喧伝されましたが、今年は景気回復の勢いそのままに、5年ぶりとなる17,000円越えでの期末株価となりました。バブル崩壊から失われた15年を経て政府は今年度中にも「デフレ脱却宣言」を行う見通しとなりました。 日本経済が回復していることを示す事例は株価だけに止まりません。就職戦線はバブル期を彷彿とさせる新規採用数の企業も出始めるなど活況を呈し、失業率は7年ぶりの低水準まで低下するなど雇用環境がかなり改善しています。 また、日銀は消費者物価指数(CPI)のプラス基調が定着したとして、5年間続けた量的緩和政策を解除し、いよいよゼロ金利の解除に意欲を示しています。その影響は早速ささやかではありますが、銀行預金の金利が上昇(もちろんローン金利も上昇)し、また国債利払い費に大きな影響を与える長期金利もじわじわ上昇しています。ようやく、長い冬が終わり日本経済にも春の訪れを予感させる息吹が随所に感じられるようになりました。 日本経済に落とし穴はないのか ライブドア事件はゼロ金利政策の反動とも言える金余り現象を端的に示した事例となりました。規制緩和の隙間を縫う形で個人投資家から大量の資金を集め、その資金を元手にM&Aを繰り広げ、株価上昇をテコにさらに資金を集める。パフォーマンス先行のホリエモンやライブドア側だけでなく、マネーゲームに興じる個人投資家側も批判されるなど、ミニバブルの発生を懸念させる事件でした。 ミニバブルといえば、東京や名古屋などの一等地は地価上昇傾向を強めていますし、メガバンクは大都市圏を中心に融資姿勢が非常に緩くなっているといわれています。金余りを背景に株価や地価に限らず、日本経済の一部でやや過熱感が出始めているのではないでしょうか。 最近「下流社会」というタイトル本が話題になりました。個人への意識調査をベースにまとめられた本著では、日本社会が階層化し、さらに固定化しているのではないかと論じています。貯蓄非保有世帯の割合は23.8%に達し、ジニ係数(所得分配の不公平さを図る指標)は、一説によると格差社会といわれる米国より日本の方が高い(高い=不平等)、という結果も出ているそうです。正社員の比率は大きく下がり、若年層の多くがフリーターやパートといった不安定な雇用環境に置かれていますし、東京23区では給食費などが支払えない公立小中学校の児童・生徒が28%にも達しています。格差社会の是非は国会でも論戦が繰り広げられましたが、社会が急速に二極化し、低所得者層や中小企業はますます厳しい環境にさらされており、その数は確実に増加しています。 財務省は3月24日に「2005年12月末の国の債務残高は813兆円」と発表しました。地方の債務残高と合わせれば、この期末には1,000兆円の債務残高となる予想です。このコラムでも再三述べているとおり、国家債務は増加の一途をたどり、いよいよ公式発表による1,000兆円の債務が現実のものとなってきました。財務省からは、“増税や歳出の切り詰めで財政を立て直すのはもはや無理”とのアナウンスがしきりに流れてきます。財政健全化が至上命題である財務省の発言だけに、消費税アップへの世論形成ではないか慎重に見極める必要はありそうですが、ゼロ金利解除ともなれば長期金利はさらに上昇し、国債の利払い費は一気に膨らむでしょうし、そうなれば財政立て直しへの無力感が漂ってくるのも事実でしょう。(そもそもゼロ金利政策の出発点はデフレ解消と長期金利を限りなく抑える目的がありました。低金利を前提に政府は国債を積極的に発行し、民間の負債を吸い上げ、景気の回復を図りました。民間債務が国債に付け飛ばされたといえます。) すでに税制改正によって各種控除が改廃され、また所得税の定率減税が見直されるなど、見えにくい形での増税はかなり進んでいます。(詳細は前回のコラム「大増税時代の幕が開いた」を参照) いずれ消費税の大幅アップは避けられないとなれば、家計への打撃は相当なものです。ようやく見え始めた回復の光ではありますが、それを覆い隠すには十分すぎる不安要素を抱えての2006年度がスタートです。 現状はやや過熱感が感じられるほどの経済回復を示し、多くの方には居心地のよい状況ではありますが、これはまさに近い将来に訪れるであろう動乱を前にした“嵐の前の静けさ”という言葉がぴったりの状況ではないでしょうか。残された時間は短いと考えて嵐にそなえた準備をいかに行うことができるのか。今年1年の過ごし方が、あなたの将来を大きく左右する、そんな予感がしてなりません。 それでも止まらぬ国家債務。もう大増税時代が始まっている 小泉首相率いる自民党は、先の衆議院選挙で大勝し、それを受けるかのように株式市場が活況を呈しています。ようやくデフレ不況を脱し、明るい未来を展望したいところです。 しかし、景気の踊り場脱却の裏側では、事態がより深刻な方向に進んでいます。それはかねてより指摘している公的債務の膨張です。選挙直後の日経新聞によると、今年の6月末現在、国の借金は795兆8000億円になったとのことです。今年の3月から3ヶ月で14兆円の増加です。この数字は某東京キー局の夜10時からの報道ニュース番組でも時々大きなスクリーンに掲示されるので、ご存知の方も増えてきたかもしれません。国家財政の窮乏化については以前にもコラムとして掲載しているので詳述は避けますが、状況は改善どころか、悪くなる一方です。前述したように、最近はマスコミでも国の借金について大きく取り上げる機会が増えてきました。すでにこの国の財政は乾いた薪の上に、ガソリンをかけたような状態です。国民の多くが国家財政の先行きに不安を持つようになれば、パンドラの箱が開き、インフレの炎が舞い上がる危険があります。すでに多くの資産家はインフレ対策を本格化させており、ここでも対策に乗り遅れ、資産消滅という被害を被るのは一般市民、特に年配層の方になりそうです。 さて、インフレの炎が舞い上がるまでには、若干の時間的猶予がありそうですが、それまでに国はどんな手立てを講じて財政は短回避に向けた時間稼ぎを行うのでしょう。 それはスバリ増税です。これもすでに以前のコラムで書きましたが、08年の消費税7%化はすでに規定路線ですし、2桁消費税の現実化は時間の問題です。 また、今年の6月には政府税制調査会の石弘光会長が記者会見で、今後の個人所得税改革について「増税なくして少子高齢化は乗り切れない」と述べて、税負担の増加が避けられないとの見方を示し、さらにその上で、「就業者の8割を占めるサラリーマンを中心に(財政再建)に取り組まざるを得ない」、といわゆるサラリーマン増税を示唆して、物議を醸しました。この改革案の骨子を見るだけでも、近い将来の大増税を予感せざるを得ません。
ある記事によると、給与所得控除の縮小、配偶者控除の廃止、特定扶養控除の廃止、所得税の定率減税の廃止後は、年収700万のサラリーマンは、所得税・住民税を合わせて41万円の増税になるそうです。仮に消費税が10%に引き上げられたとして、年間500万円の支出をしたとするならば、消費税が現在より25万円増えるわけですから、トータルすると1年間でなんと66万円も税金が増えることになります。この金額は並みの数字ではありません。放漫財政のツケをサラリーマンに押し付けようというのですから、求める側もそれ相当の覚悟と対処が求められるはずです。 おそらく、現在小泉首相が郵政民営化後に実施すると言っているいくつかの構造改革案が、政府・公務員側の努力のアリバイとして国民負担を求める材料にされるのでしょうが、(政府・公務員側もここまでやったのでから、あとはサラリーマンを中心にした国民の皆さんよろしくお願いします、というロジック)並大抵の対応では絶対許されないと思います。書店に行けば公務員天国の実態を暴いた暴露本が数多く並んでいます。緊張感のない人たちが一掃され、これなら増税されても仕方がない、といえるほどの改革を果たして小泉首相ができるのか。はなはだ疑問なのは筆者だけではないでしょう。 しかし、日本国民である以上、逃げることはできません。大増税の実施まであと、残された期間は2年程度でしょうか。増税による収入減少は避けられません。そして来るべきインフレーションまでの残された時間にいかに対策を講じるか。 これは自分の将来をかけた戦いが始まっているのだと認識して、自分なりの答えを見つけ実行しなければなりません。平時には有事に備え、有事には平静に対処する。今私たちに求められている真実です。 景気の踊り場脱却と株式市場の過熱 最近のマネー誌やビジネス誌の紙面は株関連記事で埋め尽くされています。小泉首相が衆議院を解散した8月8日の日経平均株価の終値は11,778円。解散直後に政府から出された日本経済の踊り場脱却宣言があり、(選挙対策ではないかと揶揄されていたが…)そして自民圧勝を受けて=小泉続投=改革路線の強化が連想されてか、瞬く間に13,000円をつきぬけ本稿を執筆している10月中旬でも、13,500円前後で手堅く推移しています。また、エコノミストと呼ばれる方からも力強い援護射撃が数多く打ち出されています。超弱気派で知られる金融機関系シンクタンクのエコノミストU.S氏も、「在庫調整の完了」や「地価の持ち直し」等を材料に、日本経済は踊り場を脱却し、2006年も景気拡大基調で推移する、と予想しています。弱気派のU.S氏の発言だけに、かえって信憑性が高く受けとめられている感があります。 また、この冬のボーナスは大手を中心に企業業績の好調を反映して、前年より大幅に伸びるという予想も出ており、景気の先行き好調感が株価に影響していることは間違いありません。 さらに、ネット証券の台頭で個人でも積極的にかつ、手軽に売買に参加できるようになったことも見逃せません。従来に比べ格安の手数料を武器にこれらネット専業証券会社は口座数を増やしましたし、そこから情報提供を受けたデイトレーダーと呼ばれる人たちが、10年前なら金融・証券のトレーディングルームでしか見られなかったような投資判断情報を自宅のパソコンでリアルタイム眺めながら、日に何十回も取引をする。そんに情景が当たり前になってきました。気の早い強気派はこのまま日経平均株価は2万円を目指す、という発言も飛び出すなどバブル再来の感すらします。(80年後半のバブル形成期にも日経平均株価は10万円を目指す、と発言した人がいました…) さて、よい話があればその裏に危うい話があるのも、また事実です。この株高の原因をもう少し慎重に見てみると、高値のババを引かないように、市場をよく見極める必要性を感じてくるはずです。 冷戦終焉後から15年を経て、日本の経済も完全にグローバル化したといわれています。日本の踊り場脱却も、国内事情というよりアメリカや中国の景気拡大の恩恵や、世界的な低金利の影響で膨らんだ投機マネ-や原油高で潤った中東マネ-など海外からの資金流入による影響が大きいというのが真相のようです。もちろん日本側の事情による景気回復の説明も可能ですが、そこだけに目を奪われると痛い目に会いそうです。 興味深い記事が日経ビジネス2005年10月17日号に出稿されています。ヘッジファンド等からの資金流入で、このまま原油市況の高騰が続くと、米国経済が失速する。米国の失速は対米輸出で好景気に沸く中国の輸出を鈍化させ、外貨収入の減った中国による米国債の引受けが落ち込む。米国債の引受け先が細れば、米国債の価格は下落し、逆に米長期金利が上昇する。日経平均株価の主要構成銘柄は輸出に強い企業であり、米国経済の原則は日経平均株価に対して大きな下げ圧力になるだろう、という記事内容です。 さらに、世界最大の債券運用会社ピムコ社のビル・クロス氏のコメントが印象的です。氏は「債券の王様」と呼ばれ、債券市場に対して大変影響力の強い人物だそうです。 ここ数年、米国でも世界的にも金利が低い水準になった結果、バブルが生まれている。特に2001年、米連邦準備委員会(FRB)は1%台に、日本はゼロに金利を引き下げた。それによってリスク資産への急激な資本流入が促進された。これが世界的現象となり、投資家は世界中から最も利回りの高い投資を探し出すようになった。しばらくの間は問題ないが、バブルが膨らむにつれ世界経済を危険にさらすようになる。 世界経済のバブル崩壊をはっきり予見しており、事実なら日本も相当の被害を被ることでしょう。 そうでなくても、今回の株価上昇の主役はやはり外国人です。外国人の買越額は8月が2兆円、9月も1兆円超とか。外国人投資家が底値で広い、個人が大量に追随した矢先に売りぬけられて、結局個人が大量の損失を被ったことが過去に何度もありました。 今回も同じだとは断言できませんが、このまま一本調子での株価上昇を信じるのは、あまりにも危険な冒険のような気がしてなりません。 自民圧勝、そして郵政民営化法案が成立 日本郵政公社を2007年10月に民営化する郵政民営化関連6法案が、参院を賛成多数で可決され成立しました。政争に発展した郵政民営化の問題は、小泉首相の執念が勝り、賛成派の圧勝と反対派の粛清というおまけも付けて、ひとまず幕を閉じた格好です。 小泉首相はこの勢いに乗り、さらに「政府系金融機関改革」(政府系金融機関の統廃合)や国家公務員の定員削減、三位一体の改革(国と地方の税財政見直し)といった構造改革路線を推し進める方針を打ち上げており、中央省庁の抵抗をどう抑えていくかに、注目が集まっています。小泉首相の力の源泉となっている世論は、先の衆議院選挙で自民大圧勝というお墨付きを与えましたが、いわゆる既得権層に切り込む小泉首相の姿勢におおむね共感するでしょうから、しばらくは受身となる中央省庁がどんな落とし所で決着を図ってくるかがポイントでしょう。 小泉首相はもともと孤高の政治家だったことも影響してか、周囲に有力なブレーンが少なく、すでに首相就任当時から官僚の力なくして事を進めることができず、この人では構造改革は難しいと評されていた人です。『無駄な道路はつくらない』と小泉首相は叫び、道路公団改革はスタートして「凍結」「中止」という派手な言葉も行き交いました。 そしてこの10月に道路公団は民営化されましたが、高速道路建設は一向に止まる気配がなく、結局は民営化(=改革)という「名」を取った小泉首相と、実質的現状維持(=道路建設容認)という「実」を取った官僚群の構図が“この人では構造改革は難しい”というレッテルを証明しているかのようです。 よく、日本人を評して「熱しやすく覚めやすい」と云われますが、道路公団民営化一つを取り上げても、本当に何が変わりどう実行されているのかを、継続して関心を持ち続けねばなりません。そうでないと郵政民営化も“実は何も変わりませんでした”という結果になりかねない危険をはらんでいます。 個人的には、郵政民営化の出発点は、肥大化した郵貯・簡保マネーを市場原理の働く民間市場に戻すことが目的と考えるので、民主党が提示した、郵貯預入限度額の段階的縮小案の法が、その点では的を得ていると考えます。いずれにせよ、私たち一人ひとりが常に関心を持ちつづけ、為政者に緊張感を持たせることが大切です。
このコラムでも、何度も取り上げた郵政法案が5票差という極めて僅差で可決されました。
「自民、大量造反51人」「小泉政権の求心力低下、参院採決は微妙」 などと、新聞記事の見出しは造反議員や民営化反対派が気勢をあげ、今後法案が廃案含みであることを大々的に報じています。 いくつかの記事を以下に抜粋しますと、
などと、5票差という際どい可決結果の原因や法案の問題点を分析しています。 私はたまたまですが、ラジオで本会議の一部を聞くなど、この法案の行方が大変気になりましたし、利害にとらわれず関心を持たれる方も多いのだと思いますが、確かにこの問題に対する一般の認識はそれほど深くはないように思われます。 もう一度郵政民営化賛成派と反対派の主張を簡単に整理してみますと、以下のポイントに整理できると思います。 法案賛成派
法案反対派
また、法案の中身に対しても問題点が多い、との指摘も絶えません。 法案の中身に対する問題点
【参考】2007年4月 民営化の経営形態 ![]() 法案に対する問題点の指摘は、郵政公社が民営化されたあと、さらに肥大化するのではないかという懸念に集中しています。実質政府保証を背景に事業内容が拡大されれば、独占的な収益源が確保されているので、この収益を原資にさらなる民業圧迫を増大させるという民間にとって悪魔のシナリオはとても容認できるものではないでしょう。次に、現在の郵政公社の事業規模を大手民間会社と比較してみます。 【参考】郵政事業と民間企業との比較 ▼郵便(信書を含む普通郵便と冊子小包、03年度) 郵政公社・・・247.8億冊 ヤマト運輸・・・9.9億冊 佐川急便・・・1.5億冊 日本通運・・・0.5億冊 ▼資金量(03年度) 郵政公社・・・227兆円 みずほ・・・67兆円 三井住友・・・60兆円 三菱UFJ・・・99兆円 ▼保険の総資産額(03年度) 簡易保険・・・121.9兆円 日本生命・・・35.8兆円 第一生命・・・23.1兆円 住友生命・・・17.9兆円 明治安田・・・17.7兆円 WEDGE 2004年11月号より 上述のとおり、現在の郵政公社が民間企業に対して、圧倒的に強大であることが分かります。 さて、このような法律案やビジネス規模を鑑みてみも野党各議員と自民党議員のかなりが法案に反対しました。筆者はこれでも法案に反対する議員・勢力が強いことに強い違和感を覚えます。法案によればもっとも危惧されるユニバーサルサービスに一定の配慮がなされ、さらには事業規模の拡大も十分期待できる。(民間からみれば肥大化の恐れ、ですが) それでも強行に反対する理由はなぜだろう、表向き言われているような法案反対論以外の理由があるのではないかと訝りたくなります。
なるほど、労組を支持に持つ民主党は法案に反対するわけです。自民党造反議員の多くは地方選出といいますから、やはり支持基盤の強い反対にあったのでしょう。民営化反対論者は、なにも変化したくない無責任な現状維持論者(既得権者)とその代弁者と言えましょう。 反対派は「国民(地方)の利便性」とか「地域ネットワークの拠点を維持するために郵貯・簡保が必要」といいますが、やはり議論が倒錯しているように思えます。確かに、日本のごく一部には郵便局のような公的なネットワーク窓口が必要なのも事実でしょう。しかしその一部を大きく切り出して、郵政公社自体の維持に結びつける論拠は飛躍しています。日本に住む大多数の人々は郵便局意外の選択も可能な社会で暮らしています。反対議員の多くは建前の理屈ではなく、支持基盤の要請、つまり選挙の当落を意識した自己保身が法案に反対する最大の理由だといえます。 片や郵政民営化問題は国家存亡にかかわる問題です。郵貯・簡保を入り口にした巨大マネーが市場原理をゆがめ、この国の現在と将来に及ぼすであろう悪影響の問題と過疎地のネットワーク維持が同列に語られるべきことなのでしょうか。奇しくも日本道路公団の談合問題が取り上げられていますが、これも元はといえば、特殊法人道路公団が何の苦もなく大量の資金調達ができる仕組みにも問題があります。もちろん、この資金の多くが郵貯・簡保マネーを源泉としているのは言うまでもありません。 このように市場原理を介しない巨大マネー(郵貯・簡保)は、社会を揺るがす事件・不公正にも大きく関係してくるのです。にもかかわらず、テレビ画面で法案反対を息巻く国会議員が本当にこの国の現状と将来を真剣に見据えているのか、強い怒りのような感情が湧き上がります。 すでに途方もない国家債務を抱えたこの国の行く末を案じる小市民の問題意識としては、一連の郵政民営化にまつわるニュースを通じて、多くの人々が真剣に日本の現状と行く末を見つめ考え直すよい機会であり、仮に一般世論の郵政民営化に対する関心が薄いとすれば、それは無責任な国会議員による法案の否決以上に、由々しき事態ではないかと思うところにあります。 年金問題や少子高齢化、08年にも迫った消費税増税や所得控除の見直しなど、社会・経済・政治に行き詰まりを感じているにもかかわらず、「今がよければええじゃないか」「なんとかなるさ」と刹那的に生きる風潮が蔓延しているように感じるのは筆者だけではないと思います。その危機感のなさにこそ怖さを覚えます。筆者にも小学生の子供がいますが、この子の未来が今以上に暮らしやすく、そして世界に胸をはれる社会にするためにも、今私たちは利害や保身を超えて何を考え行動すべきなのか、もう一度問い直したいものです。
小泉首相の執念が実を結び、首相就任当時から改革の本丸と定めていた郵政民営化6法案がいよいよ、国会に提出されます。執筆時点では、まだ自民党内での調整に決着が就いていないので、法案が成立するのか余談を許さないようですが、一応道筋は示されました。
多くの自民党代議士が民営化に反対の意思を示していますが、これはこの国の政治の質がいかに低いかを示す良い事例です。そもそも郵政の民営化は国の信用をバックにした郵貯・簡保が必要以上に資金を集め、これが市場経済に関係ない非効率な公的分野に配分され、これが財政の規律を緩め債務を増大化させ、やがては国の財政を破綻に導いていく、その入り口を塞ぐのが狙いです。逆に道路公団改革などは出口の問題で、郵貯・簡保の入り口を小さくすれば、必然的に出口である特殊法人の改革(廃止・縮小)は必死でしょう。 これまでも再三触れたように郵貯、簡保が溜め込んだ資金、その額は350兆円。個人資産1400兆円といわれる国において350兆円がリスクとリターンの厳しい関係から切り離されて非効率に動いているのは、いかにも歪な状態です。金融・保険マーケットとこの国のマネーフローを大きく歪めているのは間違いありません。 国と地方の長期債務は1000兆円を超えているといわれており、GDPの2倍を超過しています。急速な少子高齢化による公的年金や社会保障制度の問題などを考えれば、非効率分野への垂れ流しを食い止め、財政規律の健全化を図ることは待ったなしのはずです。もうこれ以上、官によるでたらめな国家債務を膨らませてはなりません。(もう手遅れ、と言うのが私の認識なのですが) しかるに、自民党代議士の先生方は、民営化を過疎地のサービス低下や郵便事業が後退するなどと、まるで論点のかみ合わない理屈を持ち出して反対しています。国民生活が不便になるから民営化反対と。なら、過疎地の郵便サービス維持と郵貯・簡保の民営化・縮小は絶対相容れないのか、国が滅んでも現体勢で郵政事業を維持すべきなのか。頭がおかしいとしか言いようがありません。よく考えれば議論の余地などないはずです。 つまり、反対を声高に唱える先生方は郵政票(一時期100万票といわれたが、現在は30万票程度と言われている)欲しさのパフォーマンスを行っているに過ぎないと言わざるを得ないのです。彼らは国が滅ぼうとも、自身の議員の地位が大切なのでしょうか。それともそもそも資質に乏しく、国家の現状や将来のビジョンを思考する能力に欠如しているのか。 全国特定郵便局長会という組織がありますが、自民党の集票マシーンとして政治に対する影響力は絶大です。現状から変わりたくない既得権者の代表組織と言えます。 これらの組織が政治に対して現状維持を強く働き掛けていることが容易に想像がつきます。テレビカメラの前で反対を連呼している議員は、国民でも選挙区民でもなく、一部の既得権者に向けてアピールしているのです、私はこんなに反対しているのだと。民主党もまたしかり。労組を支持基盤に持つなど構図は同じだから、ほとんど沈黙に近い。寄り合い所帯の弱さを露呈しています。本質的問題の根深さにくらべ、なんとも陳腐な理由で反対派がうごめいている現実を目の当たりにして、この国の行く末に強い危機感を覚えるのは私だけではないでしょう。 政治に妥協はつき物でしょう。これからも法案の骨抜きは行われるかもしれません。郵政側の焼け太りも懸念しなければなりません。それでも国の将来を思うのなら、今がたとえ50点の内容でも民営化、郵貯・簡保の縮小・廃止に向けてスタートしなければなりません。なんとしても現政権で郵政民営化の道筋をつけてもらいたいと思います。そのことが、将来においても日本が国際社会において存在感を示し続けられる国力を維持できるかに、大きくかかわってくるでしょう。
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