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このコラムでも、何度も取り上げた郵政法案が5票差という極めて僅差で可決されました。
「自民、大量造反51人」「小泉政権の求心力低下、参院採決は微妙」 などと、新聞記事の見出しは造反議員や民営化反対派が気勢をあげ、今後法案が廃案含みであることを大々的に報じています。 いくつかの記事を以下に抜粋しますと、
などと、5票差という際どい可決結果の原因や法案の問題点を分析しています。 私はたまたまですが、ラジオで本会議の一部を聞くなど、この法案の行方が大変気になりましたし、利害にとらわれず関心を持たれる方も多いのだと思いますが、確かにこの問題に対する一般の認識はそれほど深くはないように思われます。 もう一度郵政民営化賛成派と反対派の主張を簡単に整理してみますと、以下のポイントに整理できると思います。 法案賛成派
法案反対派
また、法案の中身に対しても問題点が多い、との指摘も絶えません。 法案の中身に対する問題点
【参考】2007年4月 民営化の経営形態 ![]() 法案に対する問題点の指摘は、郵政公社が民営化されたあと、さらに肥大化するのではないかという懸念に集中しています。実質政府保証を背景に事業内容が拡大されれば、独占的な収益源が確保されているので、この収益を原資にさらなる民業圧迫を増大させるという民間にとって悪魔のシナリオはとても容認できるものではないでしょう。次に、現在の郵政公社の事業規模を大手民間会社と比較してみます。 【参考】郵政事業と民間企業との比較 ▼郵便(信書を含む普通郵便と冊子小包、03年度) 郵政公社・・・247.8億冊 ヤマト運輸・・・9.9億冊 佐川急便・・・1.5億冊 日本通運・・・0.5億冊 ▼資金量(03年度) 郵政公社・・・227兆円 みずほ・・・67兆円 三井住友・・・60兆円 三菱UFJ・・・99兆円 ▼保険の総資産額(03年度) 簡易保険・・・121.9兆円 日本生命・・・35.8兆円 第一生命・・・23.1兆円 住友生命・・・17.9兆円 明治安田・・・17.7兆円 WEDGE 2004年11月号より 上述のとおり、現在の郵政公社が民間企業に対して、圧倒的に強大であることが分かります。 さて、このような法律案やビジネス規模を鑑みてみも野党各議員と自民党議員のかなりが法案に反対しました。筆者はこれでも法案に反対する議員・勢力が強いことに強い違和感を覚えます。法案によればもっとも危惧されるユニバーサルサービスに一定の配慮がなされ、さらには事業規模の拡大も十分期待できる。(民間からみれば肥大化の恐れ、ですが) それでも強行に反対する理由はなぜだろう、表向き言われているような法案反対論以外の理由があるのではないかと訝りたくなります。
なるほど、労組を支持に持つ民主党は法案に反対するわけです。自民党造反議員の多くは地方選出といいますから、やはり支持基盤の強い反対にあったのでしょう。民営化反対論者は、なにも変化したくない無責任な現状維持論者(既得権者)とその代弁者と言えましょう。 反対派は「国民(地方)の利便性」とか「地域ネットワークの拠点を維持するために郵貯・簡保が必要」といいますが、やはり議論が倒錯しているように思えます。確かに、日本のごく一部には郵便局のような公的なネットワーク窓口が必要なのも事実でしょう。しかしその一部を大きく切り出して、郵政公社自体の維持に結びつける論拠は飛躍しています。日本に住む大多数の人々は郵便局意外の選択も可能な社会で暮らしています。反対議員の多くは建前の理屈ではなく、支持基盤の要請、つまり選挙の当落を意識した自己保身が法案に反対する最大の理由だといえます。 片や郵政民営化問題は国家存亡にかかわる問題です。郵貯・簡保を入り口にした巨大マネーが市場原理をゆがめ、この国の現在と将来に及ぼすであろう悪影響の問題と過疎地のネットワーク維持が同列に語られるべきことなのでしょうか。奇しくも日本道路公団の談合問題が取り上げられていますが、これも元はといえば、特殊法人道路公団が何の苦もなく大量の資金調達ができる仕組みにも問題があります。もちろん、この資金の多くが郵貯・簡保マネーを源泉としているのは言うまでもありません。 このように市場原理を介しない巨大マネー(郵貯・簡保)は、社会を揺るがす事件・不公正にも大きく関係してくるのです。にもかかわらず、テレビ画面で法案反対を息巻く国会議員が本当にこの国の現状と将来を真剣に見据えているのか、強い怒りのような感情が湧き上がります。 すでに途方もない国家債務を抱えたこの国の行く末を案じる小市民の問題意識としては、一連の郵政民営化にまつわるニュースを通じて、多くの人々が真剣に日本の現状と行く末を見つめ考え直すよい機会であり、仮に一般世論の郵政民営化に対する関心が薄いとすれば、それは無責任な国会議員による法案の否決以上に、由々しき事態ではないかと思うところにあります。 年金問題や少子高齢化、08年にも迫った消費税増税や所得控除の見直しなど、社会・経済・政治に行き詰まりを感じているにもかかわらず、「今がよければええじゃないか」「なんとかなるさ」と刹那的に生きる風潮が蔓延しているように感じるのは筆者だけではないと思います。その危機感のなさにこそ怖さを覚えます。筆者にも小学生の子供がいますが、この子の未来が今以上に暮らしやすく、そして世界に胸をはれる社会にするためにも、今私たちは利害や保身を超えて何を考え行動すべきなのか、もう一度問い直したいものです。 by batra-kun | 2005-07-11 15:41 | メイン記事
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